En hommage à SPI

SPIへのオマージュ

Carl Vinson空母打撃群、日本海へ

2017年4月6日のBBC、CNN、Reuters、The Wall Street Journalのトップニュースは、言うまでもなく、米軍による「al-Shayrat(シリア空軍基地)への空爆」だった。

2013年にシリアがダマスカスで化学兵器を使用したとされた時、オバマ大統領は軍事介入を決断しなかった。
そういう経緯もあって、今回、米軍初のシリアへの軍事介入として最大のニュースになり、トランプ大統領が、習近平国家主席と夕食をしている最中に作戦の報告を受ける(わざと)というオマケまでついた。

さらに、その翌々日、各メディアはトップで「米海軍・空母打撃群(a U.S. Navy carrier strike group)の日本海への派遣」を報じた。

この空母打撃群は、空母Carl Vinson、誘導ミサイル駆逐艦Wayne E. Mayer、Michael Murphy、誘導ミサイル巡洋艦Lake Champlainの四隻から成る。これらの艦船は、韓国との二週間の共同軍事演習を終えて4月4日にシンガポールに寄港したばかりで、次はオーストラリアに行く予定だった。
日本海への移動の目的は、北朝鮮への牽制であるという。
北朝鮮は、今年4発の弾道ミサイルテストを行い、これから地下核実験を予定している。

隣国が核兵器弾道ミサイルの機能を向上させていることは、日本にとって由々しき事態である。米空母打撃群の動きは鎧袖一触の事態なのに、日本の新聞はこれをまったくとりあげないか、Reutersの翻訳記事を適当に載せただけ。
他国の報道機関でさえも、総合のトップで伝えている重大ニュースなのだが..。

シリアの次が北朝鮮にならないことを祈るばかりです。

【図1】 ロシアの巡航ミサイルによるシリアへの通常の攻撃路。黒海から発射したミサイルは、イラン、イラクを越えて地中海湾岸まで到達する。(VG)Fleetシリーズでは想像もできなかった攻撃距離である。ロシア黒海艦隊は地中海の航行も許されているようだが、さすがにそこからの攻撃はできないのだろう。イラク領内の4つの「爆発マーク」は2015年10月に墜落した時のもの。

【図2】 4月6日にUSS PorterとUSS Rossから発射されたTLAMsは59発。第5艦隊(ペルシャ湾)でなく、第6艦隊(地中海)が攻撃していた。しかも謎のロシアGrigorovich提督級フリゲート艦が攻撃の直前に米艦隊の付近にいた。