En hommage à SPI

SPIへのオマージュ

Modern War誌#13 The Next Lebanon War

2015.3.7 YSGAで対戦

レバノン南におけるHizballahとIDF(イスラエル陸軍)の戦闘を描いたゲーム。2006年シナリオと2012年の架空戦シナリオがある。

同じCOIN戦を扱いながらも、The Next Lebanon Warのルールは、Modern War誌の過去のCOINルールとは異なるもので、ユニットには情報力と運用力が印刷されている。ファイヤーパワー方式のCRTで防御側が先に攻撃側を攻撃、生き残った攻撃側ユニットが防御側を叩く。単一のシステムで、IDFの中央集約型指揮系統とHizballahの分散型指揮系統を表しているのが興味深い。
イニシアチブ・チェックがあるが、滅多なことで変わらないので、通常はIDF優勢による展開となる。

おそらく、このゲームの正しい遊び方は、Hizballahプレイヤーは、中長距離移動ロケット砲を前線よりも後方に配置し、イスラエル国内を空爆して勝利ポイントを貯め、IDFプレイヤーは、Hizballahロケット部隊を攻撃するためのタスクフォースを編成、機動作戦によって破壊することなのだろう。

Hizballahは、2006年の戦争で移動ミサイルが容易にIDA(イスラエル空軍)によって発見・破壊された経験をふまえ、現在は分散配置して位置を隠匿していると言われる。ゲームではそれを反映して、中長距離ロケット/ミサイルユニットは「隠匿」モードで置かれる。IDAが空爆するには、地上ユニットの情報値でロケットユニットを発見する必要があるが、そのためにはIDFはHizballah前衛を突破、後方深く侵攻しなければならない。

時間はIDFにとってアキレス腱であり、戦争を20日以内に終了する必要がある。戦争の長期化は軍事的・政治的・経済的にイスラエルを利さない。
反対に、戦争の長期化とイスラエルへの国際非難の高まりがHizballahの戦略であり、ゲームではシリア軍が介入する連鎖反応ルールがある(もっとも、現在のアサド政権はそれどころではないのだが)。Hizballahはイスラエルの市民ターゲットを破壊、連鎖反応をエスカレーションさせる。

HizballahのC2(指揮値)が低いのは、「戦争開始と同時に、IDFはあらゆる方法を用いてHizballahの通信手段を破壊する」ことが予想されるからだという。

中長距離ロケット/ミサイル、市民ターゲット、情報値、タスクフォースの編成、ユニットの隠匿と分散、国連非難、シリア/イラン軍の参戦など、中東の低強度紛争を表現するルールがそろっている。

ルールは、Brian Trainオリジナル版、それをDecision Gamesが変えたModern War誌第二版、それをBrian Trainが改良した第三版がある。

3月7日(土)のYSGA対戦では第三版2006年シナリオを4時間かかって終了、Hizballah23ポイント、IDF21ポイントでした。

【作戦例】
IDFの行動範囲はLitani川以南に止まらない。図では空中機動でLitani川に部隊を降下、地上軍と連携する。ベカー高原への侵攻はシリア軍介入の危険を伴う。

(対戦いただいたMさんありがとうございます)