En hommage à SPI

SPIへのオマージュ

ミランダのクソゲー

ゲームレビュー「S&T #307 "Cold War Hot Armor"」

PanzerBlitzと同じスケールでベトナム戦を再現するこのゲームは、小隊規模の歩兵の他に、攻撃ヘリから装甲車、戦車、対戦車ミサイルまでもが登場、それぞれのユニットは1~20ヘクスの射程を持ち、射線ルール、指揮半径、リアクション攻撃、チットプルアクティベーション、ハードターゲットとソフトターゲットに分けた戦闘解決などによって、近現代戦を精密にルール化しています。

特集記事によれば、「装甲車両による移動に不向きなベトナムの地形において、米陸軍は当初は戦車の投入をためらっていたが、米海兵隊はVCとの戦闘の中で、不整地を逆手にとる機甲戦術を考案、共産軍を撃退した」と書かれていて、おお、さすが米軍、その戦法をゲームで試してみたいと思いました。

さらに、同じルールでアフリカ版、中東版やワルシャワ条約軍版がシリーズ化されることになっており、これが実現するなら新しいルールを覚えることなしに、世界中の近代戦が楽しめるわけです。 ゲームデザイナーはJoseph Miranda。雑誌の予告を読んで、これは近代戦術級の決定版にちがいないと確信したのです。

しかし...

結論から言えば、これほどつまらないゲームを過去にやったことがありません。なまじっかルールが機能しているので、「Modern War#8 "Holy Land"」のように笑いとばすこともできない。とにかく、ただひたすらつまらない。死人のような眼をしてダイスを振り続けるゲームです。

にもかかわらず、ミランダはノリノリで十本の追加シナリオを公開、S&T #308に至ってはパトロールボートのバリアントユニットが付属、Consimでは「これで"地獄の黙示録"ができる」などと書き込みがある不思議なゲームです。


【34.2 シナリオ "Street Without Joy"】
1954年7月24日、Viet Minhがフランス極東遠征隊機動グループ100(GM100)を待ち伏せて積年の恨みを晴らした。
ユニットを並べている時が一番楽しかった。

【34.8 シナリオ "The Rock of Dang Ha"】
1972年4月23日、イースター攻勢で米/南ベトナム軍は未知の敵と戦っていた。ベトナム戦争で始めてAT3 Sagger(ソビエト製ワイヤー誘導式対戦車ミサイル)が使われた戦い。
AT3 Saggerが出る前にゲームが終了した。

【34.9 シナリオ "Assault on Kontum"】
戦車とヘリコプターが出る前にゲームが終了。

【34.3 シナリオ "Operation Sarlite"】
悟りの境地。

(2017年12月23日、YSGAで対戦)

【写真1、2】 拡大マップを使用。ユニットはアクリル製。