En hommage à SPI

SPIへのオマージュ

(GMT) All Bridges Burningの対戦

COINシリーズ10作目"All Bridges Burning"を3月14日(日)のYSGA例会で対戦しました。

三人対戦のこのゲーム、「2時間でできる」とゲームデザイナーは書いていましたが、驚くべきことに3時間半でできました。ルールの量が多いCOINゲームの中では異色というべきです。

展開が早かった理由は、プレイヤーがひとり少ないこと、カードが40枚しかないこと、エリアが8箇所しかないこと、そして、独自のeligibilityシステムを採用していること、にあります。

もはやイベントカードがプレイの順番を決めるものでなくなったため、カードのめぐり合わせでパスを何ターンも強いられることがなくなり、3時間ノンストップで二転三転の展開が進みます。また、ターン数が少ない分、全体像が把握しやすく、早期に三者の利害が対立します。

"All Bridges Burning"はロシア革命(1917)直後のフィンランドにおける内戦を扱います。100年間ロシアの属国だったフィンランドが、ロシア帝政の崩壊によって無政府状態となったところからゲームは始まります。
産業革命以降の社会の工業化によって、フィンランド都市部には財産を持たない労働者が生まれ、ロシア政府が消滅した時には新たな社会階級が誕生していました。ゲームマップの主要部分は1917年当時、社会主義者/共産主義者が勢力をのばしていた地域です。

プレイヤーは、右派白衛軍、共産赤衛軍、中庸派(Moderate)の三者で、これにBOTルールで動くドイツ軍が第四のプレイヤーとして加わります。中庸派とは、共産陣営でありながら内戦回避を推進した政治家/知識人です。幕末で言えば、薩長派、幕府派、勝海舟派の三陣営が勝利を競うようなゲームでしょうか。ゲームデザイナーは、表面上は右派が勝ちながらも実際は対話を推し進めた中庸派の勝利である、という歴史観をゲーム化したかったのでしょう。ドイツ軍を無理に第四プレイヤーにしなかったことも、面白さのひとつだと思います。

やはり最後までできる、という満足度は高く、スリリングな展開と相まって、いままでプレイしたCOINゲームの中でも1番か2番の面白さでした。
戦争準備をする各プレイヤーの動きがリアルで、終わった後にもう一回やりたくなるゲームです。


間違えやすいルール
- Rallyで登場するReds/Senate Cellsのカウントを忘れる(27個以上で自動的に"赤軍蜂起"になるので注意しなければならない)。
- Rallyで配置できるSpacesの数は、Polarizationが上限。
- 第一Propaganda RoundのRallyで使えるSenateのCellの数は半分(下半分の10個だけ、Senate Conscription、6.5.5)。
- ドイツ軍をマップに配置するのはGerman Action Phaseカードを引いて最初の"Landing"アクションを行う時("Red Revolt!"を引いた時ではない)。"Foreign Relations"によって増えたドイツ軍のCubeは、Propaganda Roundの最後に"German Available Box"に登場する(ロシア軍のCubeはPropaganda Roundの最後にいずれかのTownに登場する)。
- Personalityを守るには最低一個のMods Cellが必要(Networkは守らない、3.2.3)。
- "Full Command + Special Activity"で、Special Activityだけをやってはいけない。

【写真1】 第2Propaganda Round。勝利ポイントの対象となる主要都市は赤化している。立ち上がりの遅い白衛軍が後半に戦闘を仕掛けるルールになっている。

【写真2】 写真1から2ターン後。ドイツ軍が上陸(グレーのキューブ)、Tampereが中庸派によって中立化されている。 ゲームスピードがわかる写真である。