En hommage à SPI

SPIへのオマージュ

一日でできる?(GMT) All Bridges Burning

昨年発売されたGMTのCOINシリーズ10作目"All Bridges Burning"は、フィンランド内戦(1918年)を扱った3人対戦のゲームです。

デザイナーによれば、"Colonial Twilight"と"Cuba Libre"のスピードに影響を受けたそうで、"All Bridges Burning"は、

 1. 対戦者が3人
 2. 1ラウンドのイベントカードが9枚(通常12枚)
 3. エリアが8箇所(ガンジーは20)

としたことでゲームが速く進むそうです。「2時間あれば最後までできる」とまで豪語していますが、版を重ねるごとに精密化、複雑化しがちなウォーゲーム界において、短時間でできるというのは、その通りなら珍しいことです。ゲームの前半はユニットの移動が禁止されているので、その分早く進むのはまちがいありません。

また、ルールを読む限りでは、デザイナーはフィンランドへの愛国心にあふれていますね。内戦は今日のフィンランド社会にも影を落としているそうで、その結果、デザイナーは赤衛軍対白衛軍というシンプルな図式を捨てて、"中庸派(Moderate)"という史実にはない派閥を考えたようです。

中庸派は、社会民主党員でありながら党の武闘路線に参加しなかった者(ヴァイノ・タンネル)や内戦に否定的だった資産家階級の人々を表しています。ゲームで中庸派が勝つのは史実で白衛軍が勝つことと同意義で、ゲームで白衛軍が勝つのは、分裂が進む社会、資産家階級による専制政治を意味するそうです。フィンランドが今日のような国家であるのは、対話を重視した人々のおかげだとか。


ゲームは最後までできるかできないかで、満足感がまったく違うので(そして、大半のゲームは一日で終わらないので)、"All Bridges Burning"がどいういう展開になるか楽しみです。