ベストゲームを聞かれたので、この十年内に対戦したウォーゲームベスト10を挙げてみます。
1位: (SPI) NATO Division Commander
2位: (VG) Flashpoint: Golan
3位: (Nuts!) Uerban Operations
4位: (AH) 帆船の戦い
5位: (VG) Panzer Command
6位: (SPI) Battle for Stalingrad
7位: (AH) Breakout: Normandy
8位: (AH) Flat Top
9位: (SPI) Tito
10位: (GMT) All Bridges Burning
評価の基準は、
1. ゲーム内の勝敗は問題ではない
2. 軍事的規範に沿うことが要求される
3. 書籍から得られない軍事知識が得られる
の三つです(少し違うのも混じってますが)。
2021年3月21日(日)、都内で「(GMT) Sekigahara」と「(Columbia) Quebec 1759」を対戦しました。
「Sekigahara」
このゲームの特筆すべきはコンポーネントの美しさでしょう。
戦闘判定にダイスを使わず、戦意カードと軍勢ブロックの組み合わせで戦闘結果を出します。
分権性・独自性を基本とする大名達(各ブロック)は、時代の中央性(centrality)に飲み込まれ、それぞれの立場から、徳川か豊臣に忠誠を誓わなければなければなりません。結果として、彼らの戦意は移ろいやすく、合戦の直前まで誰が闘うかわからないのです。
それがこのゲームの中心的なシステムであり、"Sekigahara"というゲームタイトルがついた理由だと思います。総大将の徳川家と豊臣家は、合戦のたびに"小山評定"を開き、臨時編成の軍隊を組織しなければなりません。
戦闘の目的は単純に相手ブロックを除去する、というものだけでもなく、名誉を重んじる大名ユニットは、地勢上まったく価値のない城や都市を欲しがります。それが勝利ポイントになっているので、徳川・豊臣両家は、これらの余計な目標を獲る必要があります。獲得した城の数が相手プレイヤーより多いと、人気が出て戦意や参加する大名の数に良い影響が出ます。
石田光成の人気のなさ(リーダーボーナスがゼロ)、西軍と距離を置く毛利輝元(1枚ずつカードを使って登場)、内通戦術にたけた徳川家康(ロイヤリティ・チャレンジカード)など、中心的な大名のキャラクターがルール化されているのも面白さのひとつでしょう。
西軍・東軍、ともにルールは同じですが、地勢上の違いと、カード、ブロックのわずかな構成の変化によって、それぞれの陣営の性格が出ています。ルールから考えるよりも、この武将ならこう考えるだろう、と想像して動かすほうがうまくいきます。抽象性の高い積み木ゲームであるにもかかわらず、十分なリサーチがされていると思いました。
対戦では、第一ターンに東軍が岐阜城を取りに行ったことが尾を引き、西軍の勝利に終わりました。
徳川陣営は「後手の先手」であるべきで、先に一個だけ城を取ってみる、というのは彼のスタイルではなかったんですね。
「Quebec 1759」
フレンチ・インディアン戦争におけるカナダでの英・仏軍の衝突を、積み木ルールでゲーム化しています。イギリス軍の悪辣ぶりがルール化され、対戦では、たった一個しかないインディアン・ユニットが特殊部隊のような働きをしました。
対戦はインディアンが除去された12ターン目で趨勢が決まり、イギリス軍の勝利となりました。
積み木ゲームは、ルールが少なく、短時間でインスト、対戦できるのが魅力ですね。
次回は"(Columbia) Napoleon"を対戦することになりました。
(2021年3月21日(日) 東京歴史研究会で対戦)