En hommage à SPI

SPIへのオマージュ

(AH) ギリシア・ローマ海戦

1987年に建造された三段櫂船、Olympias号

2023年3月19日(日)YSGA定例例会で、「(AH) ギリシア・ローマ海戦」を3人で対戦しました。

シナリオは、アクティウムの海戦。エジプトの人海戦術対ローマの科学技術の戦いです。
ローマ軍二十隻に対し、エジプト軍が十五隻というハンデがあるので、エジプト軍が勝つのは容易ではありません。エジプト軍三隻が沈められた時点で午後五時となり、ローマ軍優勢のうちに対戦は終了しました。

午前10時20分、ゲーム開始

午前11時12分、第4ターン

午後5時20分、ゲーム終了。第7ターンまでにエジプト軍が三隻沈んだ。

 

戦闘用ガレー船
高速攻撃型のガレー船 ”トライリーム” には、貨物を積むスペースがほとんどありません。喫水が浅く、悪天候に弱いため、沿岸沿いに航行するのが一般的で、夜間は陸に船を揚げ、乗員は陸上で食事と休息をとっていたようです。

150~200名の漕ぎ手は、Auletesと呼ばれるラッパ手の号令で動きました。ひとたび乗船したら漕ぎ手の視界は遮断され、持ち場を離れることはできませんでした。トイレもその場でしたため、三段の一番下の漕ぎ手は悲惨な目にあいました。
船内は、騒音のおかげで会話も不自由でした。200名の漕ぎ手を統率し、望むような操船をするのは容易ではなかったでしょう。指揮官からAuletes、Auletesから漕ぎ手への伝達のタイムラグも少なくなかったと思います。
操艦では敵・味方艦の位置だけでなく、風向きも考慮しなければなりませんでした。風上の船は他の船よりも大きく揺れる傾向があり、僚艦にぶつかる危険がありました。オールが絡まったら最悪です。

風に逆らって漕ぐことは賢明ではなく、敵側は通常、そうさせようとしたでしょう。左舷や右舷に強い風が吹くと、舵取り兵(Kyvernetes)は進路を保てなくなります。舵が役に立たない時は、左右の漕ぐ強さを変えて針路を維持する必要があります。
風と潮流のオプションルールを採用すると、何もしなくても衝突によって損害がどんどん出るのですが、あながち誇張ではないかもしれません。実際には、ゲーム開始時の、横一列の隊形を組むのでさえ熟練を要したのですから。

 

Ram攻撃
Ram攻撃は、時速7~20kmの速度で行われました。敵艦に当たる角度が90度に近いほど穴は開きやすく、当てる角度が浅い場合、それなりの速度が求められました。
衝突の直前にオールは引き上げ、当たる最後の数十メートルは慣性による移動です。

 

ボーディング・バトル
航行の安定性に問題があるトライリームでは、乗船する戦闘員の数が制限されていました。積載物は船をトップヘビーにするため、最小限にされました。
操艦が上手なアテネ海軍は、少数の戦闘要員しか乗せず、Ramを突っ込み、すぐに引き抜く戦術を得意としました。この戦法の欠点は、RAMが刺さったまま抜けないと、望まない搭乗戦闘になったり、第二の敵艦からRAM攻撃を受けてしまうことです。それでもアテネ海軍は、この戦術で数々の勝利をおさめました。一方、ペルシャなどのレベルの低い海軍は、大勢の戦闘員を乗せて数で圧倒しようとしました。

 

戦術
練度の高い艦隊は、次のような機動戦ができました。いずれも、敵艦を上回るスピードが求められました。

【3つの代表的な戦術】

  1. ディークプルス(Διέκπλους)。敵陣を突き破った後(a)、Uターンして敵背面を攻撃する(b)。
  2. キクロス(Κύκλος)。多勢に無勢の時、防御の輪を形成し維持する。
  3. リプラス(Περίπλους)。正面の敵を牽制し、第二艦隊が側面を叩く。

ローマ時代になると、スピードは決定的な要素でなくなりました。ローマ帝国は重歩兵を乗せた、より大きく遅いガレー船を建造、先端にコルヴス(Corvus、敵艦にかける立橋)とシプリア(Scorpio) をつけたのです。シプリアとは、矢や槍を発射する大型の弓台です。ローマ兵は敵艦に乗り込み、全員を虐殺して、海戦を陸戦に変えました。シプリアとコルヴスは、ローマ海軍の主要な兵器であったとされています。

【ルール覚書】
- Ram攻撃を行い、判定によってCrippledになった船は、次のターンでBackwater移動をするべきか?→しないでよいことにした。
- bPを同一ターン内に2回連続して行ってよいか?→よいことにした。
- Ram攻撃の結果Backwaterを行う船の移動速度は、自動的にCruising speedである(BackwaterをFull speedで行うことはできないから)。
- Boarding Groupを他船に派遣したことによってMarineが減った船は、Cargo limitを再計算し設定しなおさないといけないか?→面倒なのでゲーム開始時のCargo limitのままとすることにした。
- Holedの結果Surrenderした船は、自動的に敵によるCapture状態にならないので(Boarding Battleの結果Surrenderした船には直ちに敵がBoarding membersが送りCaptureできる)、敵がその船をCaptureするには、Grapplingを行い、Boarding Groupを派遣してCaptureしなければならない。→面倒なので、Boarding BattleのSurrenderと同じにした。すなわち、Holeの結果Surrenderした場合、自動的に敵によるCaptureとする。
- Flame Effects(P21)の"8 to 10"でDeck CrewとMarinesが半分になるのはそれらが除去されたからではなく、消火活動にあたるためである(火が消えたらそれらの人員は復活する)。
- 天候の設定
Triremeではゲーム中に風向きが変わることはなく、常に一定の方向から吹く。今回の対戦で、風力は終始一定、Sea Stateは常に"flat"、Ocean CurretによるDriftのみ採用、Tidal Current、River Currentのルールは用いなかった。

エジプト軍15隻。数において優る戦闘要員を主力とする。

科学技術において優るローマ軍。20隻。