En hommage à SPI

SPIへのオマージュ

(AH)1776

ジェネラル誌の人気投票でも長年上位に入っていたこのゲーム、高級感漂うボックスデザインもあいもって、中学生の時からやってみたいゲームのひとつでした。

ゲームデザイナーがさほど注目を集めていなかった1970年代、ウォーゲームはおもちゃであり商品でした。一般多数をターゲットにした当時の方が、プレイアビリティが高く抽象化が上手なゲームが多かったように思います。この日の例会でも(AH)ジュトランドが床で対戦されていました。

2016年4月23日(土)のYSGAの例会では「(AH)1776」を1974年当時の第一版ルールでプレイしました。
午前中に上級ルールで「サラトガ」シナリオ、午後はキャンペーンゲーム。はじめての対戦であるのに難なくできたのはさすがYSGAというべきです。

イギリス軍は、マップに拡散する20以上の「戦略都市」に、薄く広く展開しなければなりません。(そうしなければ、各クォーターの終わりに、その都市からアメリ民兵が登場します。)しかし、イギリス軍には、すべての戦略都市を守るだけの兵力がありません。南カリフォルニアなどの辺境の地では1戦力のレッドコートに守らせるしかないのです。
一方、戦力において劣るアメリカ軍プレイヤーの戦法はヒット&ランです。1戦力のイギリス兵は、6戦力の反乱軍民兵に簡単に蹂躙されます。

CRTが攻撃側有利に作られているため、1:1の攻撃でも砲兵が2ユニットあれば十分有利に戦えます。特徴的なのは一回の攻撃の中で無限に戦闘を繰り返せることで、文字通り相手を全滅させることができます。これを防ぐには「NE」が出るか「退却カード」を使う以外にないのですが、要塞の防衛ではそもそも戦術カードが使えないので、やはり全滅するまで戦わされます。攻めた者勝ちなので盤面は流動的、膠着状態になりません。

興味深いルールは、要塞に入っている防御側ユニットには、要塞の外に出れば脱出できるチャンスが与えられていることです。すなわち、攻撃側のすべての攻撃が終わった後、防御側は自発的に反撃する機会があるのですから、その時、防御側ユニットを要塞から出して1倍戦闘力で通常の反撃を仕掛け、戦術カードで「退却」を使うのです。相手側が「正面攻撃」カードを使わない限り、戦闘はそこで終了します。
攻撃側が圧倒的な兵力で要塞を攻めた場合、防御側は、全滅するまで要塞に立てこもるかわりに、危険をおかして要塞から出て一回反撃して退却するオプションが設けられているわけです。

午後から始めたキャンペーンゲームは午後6時までに12ターン行なうことができました。1776年末の冬季判定でアメリ大陸軍の損耗率は、NEW ENGLAND = 50%、MIDDLE STATES = 50%、SOUTH CENTRAL = 75%、DEEP SOUTH = 25%でした。

40年以上前のゲームでありながら、S&T#270独立戦争と比較しても遜色のないプレイアビリティで、エラッタもなし。米英共通の戦闘ルールでありながら非対象戦になる点など、もう一回やってみたいと思う程の完成度でした。

【写真】
上: 図書館でルール研究
中: 拡大マップでサラトガシナリオ
下: 初のキャンペーン