En hommage à SPI

SPIへのオマージュ

Strategy & Tactics #305が届いた


Strategy & Tactics #305を今朝読みました。

特集は「白日の軍隊」。白日とはKMT(中国国民党)の党旗のことで、付録ゲームは1937~43年の日本とKMTの戦いです。43年で終わっているのは、日本軍最大の攻勢であるOperation Go-Go(五号作戦。15個師団)が予定されていたから、だという。日本軍プレイヤーは1944年以降、絶対に勝てない設定なのでしょう。

興味深いのは、特集記事で、日清戦争を「第一次日中戦争」、1937年(盧溝橋事件)以降を「第二次日中戦争」としていることです。付録ゲームは「第二次日中戦争」の全貌を描いています。果たして日本がKMTに勝つことが、1937~1943年の間にできたのだろうか?という視点が特集記事で提起されています。

KMTを述べることなくして第二次日中戦争を語ることはできませんが、記事では、もちろん、KMTとCCPを分けて記述、日本は軍事的にKMTに敗れた、と結論づけています。

第一次日中戦争で朝鮮、満州事変で満州を手に入れた日本は、同様に、主要都市を数箇所占領すればKMTは膝を屈すると考えていた、と記事は推測(具体的には、5個師団で一ヶ月の戦争で勝てると考えていた)、ところが、KMTは、南京、上海、北京、天津陥落後も抗戦したため、少なくとも、1941年のパールハーバーまでの間、戦争は戦略的にはステルメイトであり、日本はKMTに負けることはなくとも、勝つこともできなかったのだという。そして日米開戦によって、1941年以降、日本はKMTに勝つことが絶対的に不可能になった(パールハーバーもルールに盛り込まれています)。

遅くとも1932年の終わりまでに、日本は、超国家主義者による軍国主義によって、通常の思考ができなくなっていた、歴史のアイロニーは、KMTは、日本との戦いで消耗したため、1949年にCCPに負けたことである、と記事はしめくくっています。近衛文麿が首相になれば戦争にならないだろう、と思ったらまったく逆のことをした(西園寺公望談話)、とWikiに書いてありましたから、そうだったんでしょう。

関連ゲームS&T#259 Battle for China

S&T#259のデザイナーズノートにも、「1941年以降は、日本軍は中国軍に絶対に勝てない」と書かれてますね。

【下の写真】
フルカラー図版がS&Tの魅力。1945年の降伏時の図では、CCPの支配地域が赤で表示され、1965年の南ベトナムのよう。日本の占領が名ばかりだったことがわかる。青い部分はソビエトの侵略部分。