En hommage à SPI

SPIへのオマージュ

ゲームレビュー 「World at War#41 Mare Nostrum」

ダンス ウィズ キャメルズ

[2015年7月26日(日) YSGA例会で対戦]


評判の高かったWorld at War#41「Mare Nostrum」は期待を裏切らないものでした。

1941~43年の地中海キャンペーンというテーマ、ジブラルタル海峡からペルシャ湾まで俯瞰する特大マップと480枚のカウンター。戦闘ユニットと物資は、ひとつひとつを輸送船で運ぶ必要があります。

かねてから、北アフリカが第二次大戦の主戦場のひとつになった理由がわからなかったのですが、それはシシリー島とマルタ島から論じられるべきものと思います。そして「Mare Nostrum」は、それを考えるのに絶好のゲームなのです。

ドイツ最高司令の1940年の意図では、北アフリカのドイツ軍は連合軍に対するけん制にすぎませんでした。もしロンメルが凡庸な指揮官であったなら、DAKがエル・アゲイラを出ることはなかったのです。ロンメルが偵察で東に500キロも前進しなければ...

北アフリカ戦線はアレキサンドリア・カイロの攻略が目的であり、ひいてはイラクの石油資源の確保が目的であった、という説がありますが、ロンメルがたどったルートで海岸沿いにカイロまで侵攻するのは兵站の観点から夢のまた夢。仮に何らかの手段でイラクまで進軍できたとしても、やはり兵站の問題から占領の継続は不可能で、地中海を経て石油をイタリア・ドイツまで輸送する話になると...ゲームでもこれらは不可能です。

今回の対戦では「ロンメル凡将バージョン」を採り、DAKはちょっと連合軍をけん制するだけ、枢軸軍の主力が、マルタ島クレタ島の攻略に専念した結果、1941年10月までにこれらを占領、アレキサンドリア、カイロを脅かすまで進みました。

鈍重な連合軍が何ターンもかけて戦力を蓄積する間、枢軸軍は攻撃距離の近さと機動力を生かした出撃を繰り返したのです。まるで地中海でダンスを踊るように。イルカと踊り、ラクダと踊って連合国を翻弄、資源の蓄積と反撃の余裕を与えないようにしました。

北アフリカ戦線を統括する司令官は枢軸側に存在しなかった。ましてや地中海全域を俯瞰する者などいなかった。("there was no single commander in charge of Axis operation in North Africa, much less across the larger Mediterranean theater of opeations.")」そうなので、ひとつの陣営を複数で担当するほうが、意図が分散して史実に近くなるかもしれません。YSGA例会では4人で対戦しました。

今回採用したオプションルール: 22.0 Advanced command、26.0 Fighter Interception、27.0 Ground Retreats

1941年1月のセットアップ
http://gold.natsu.gs/WG/MW/waw41/setup1.jpg

戦争開始前。
DAKがリビアに上陸している。
地中海ではイタリア海軍とイギリス海軍が対峙。このように見ると、イタリア軍が自信満々なのがわかるし、シシリー島とクレタ島の帰属が北アフリカ戦線の要となることも理解できる。

YSGAの対戦
http://gold.natsu.gs/WG/MW/waw41/map1.jpg

【下の写真】 第8ターンごろ。ベンガジで止まっているDAK司令部。シシリー島から実施した枢軸軍の空爆によって、マルタ島(連合軍)の空軍基地は真っ先に破壊された。北アフリカを語るには、マルタ島が欠かせない。