WSIMでよくあること:意図しない敵艦に、意図しない角度で近接してしまうこと。それがどうしてそうなったか、自分でも説明できないこと。
【写真1】
自作のCRTとログシート。
兵員の錬度レベルごとに作り直した「段階別CRT」と、不要な情報を排除したログシート。両者の数字は黄、橙、赤のカラーコードで関連付けられている。使い捨てのCRTは自由な書き込みができる。ブックキーピングのストレスを軽減することで操艦に集中できる...と思っていた。少なくとも昨日までは。
【写真2】
昨晩のゲーム終了時の配置。英軍旗艦ビクトリー号の位置が、スペイン軍旗艦サンティシマ号と2ヘクスの距離にあることに注目。
英軍(私)にとって、これは次の三つの理由から、絶対にしてはならないことだった。
1.勝ち目のない相手に近接している。サンティシマ号はビクトリー号の二倍の耐久性がある。サンティシマ号の損害はわずか30%であるのに対し、ビクトリー号は70%もあった。サンティシマの5ヘクス以内に入るのは、沈められるために行くようなものであった。
2.三隻の味方艦が、ビクトリー号の進路(北東)を塞いでいる(しかも自分でプロットした。白色)。
3.他の唯一の出口は、敵艦ラーヨが塞いでいる(南、黄色)。すなわちビクトリー号は袋小路にいる。計算によればラーヨは無傷である。
ユニットを行き止まりに配置するのは、WISMでは初歩的な間違いなのです。なぜなら、帆船は後退できないから。練習会まで参加しながら、一番大切な旗艦にこのようなミスをするとは..。横浜のゲームサークル・YSGAのゴールデンウィーク大会二日目は、自分で作った問題を解決することから始まった。
このような、自分でしながら自分で理解できないなぞの移動は、他の対戦者においても頻繁におきていたように思う。
普通のウォーゲームでは、ユニットは意図した位置に置くことができる。「一度ユニットから指を離したならそのユニットを移動しなおしてはならない。」という紳士ルールはあるものの、気がついたらユニットが変な位置にあった、ということはない。
しかしWSIMでは、同時移動と事前プロットでユニットを動かさなければならないので、敵側のユニットが移動し終わった状態を見て、自軍を配置することができない。偶然の要素と、各プレイヤーが犯す錯誤の連続からゲームの流れが生まれる。
自分の犯したミスをいかにリカバリするか、対戦者のミスから何を搾取できるか、について多くを考えなけばならないのである。
【写真3】
自分のミスをリカバリした例。
最初にしなければならないことは、自分が重大な間違いをしたことを、相手プレイヤーに悟られないことだった(←もちろんバレている)。
この場合、北方の戦場でフランス艦隊が4隻降伏したこと、近くにいたスペイン艦ラーヨに大きな損害が出たことが重なって、サンティシマは自ら僚艦アントレピードを連れて戦場から離脱した。
もしこの時、サンティシマ号が捨て身の攻撃に転じていたなら、ビクトリー号は沈んでいただろう。しかし、スペイン軍は逃げる方を選んだ。
この図だけで何がどうなっているか説明するのは難しいが、各艦が複雑な動きをしていることはわかっていただけると思う。
【結果】
【初日1~8ターン】
●イギリスの降伏艦
Royal Sovereign
Minotaur
Africa
●フランス/スペインの降伏艦
Santa Ana(SP)
San Justo(SP)
Neptuno(SP:戦場から離脱)
Mont-Blanc(FR)
Scipion(FR)
Neptune(FR)
Agronaute(SP)
Achille(FR)
Pluton(FR:捕獲)
Berwick(FR:捕獲)
【二日目9~16ターン】
●イギリスの降伏艦
Conqueror
Ajax
Bellerophon
●フランス/スペインの降伏艦
Duguay-Trouin(FR)
Neptuno(SP)
Formidable(FR)
Redoutable(FR)
Heros(FR)
Rayo(SP)
Bucentaure(FR)
Monarca(SP)
Algeciras(FR)
Principe de Asturias(FR)
Mars(BP:フランスが捕獲した後、イギリスに降伏)
【合計】
フランスの喪失艦数:20隻
イギリスの喪失艦数:6隻
史実ではイギリスの喪失艦数ゼロ、フランス・スペイン側21隻の降伏+1隻の沈没になっている。
【使用したルール】
基本ルール
フルセイル
時間制限
第一版の白兵戦(TMS3:1で終了)
味方艦同士の移乗の問題は、同一ターンにgrapplingとungrapplingができないことで解決。
Grapplingしているところの更に2番目の Grapplingが可能。
(2017年5月5日、O、I、M氏らと二日間の四人戦)