En hommage à SPI

SPIへのオマージュ

エルサレムにアメリカ大使館がオープン

イスラエル建国70周年にあわせて、昨日(2018年5月14日)、エルサレムアメリカ大使館がオープン、娘イバンカ・トランプがスピーチを行った。

これに対する抗議として、HamasはWest Bankのパレスチナ人に、ガザ地区最大の国境検問所を突破するように指示、イスラエル軍はドローンからの催涙弾の投下と兵士の実弾射撃で応戦した。この日だけで58名のパレスチナ人が死亡、1,350名が負傷した。パレスチナ人の抗議行動は7週間前から行われていて、既に40名が死亡している。

ネタニエフ首相はアメリカ大使館の移転を、"What a glorious day, President Trump, by recognizing history, you have made history."と賞賛したが、サブリ・サイダム・パレスチナ教育相は“Today is a day of sadness."と言い、これは70年間独立を待ち望むパレスチナ人を侮辱するものだと語った。今のところ、テルアビブからエルサレムへの大使館移転を表明しているのはグアテマラ一国のみだ。

(動画は下のリンクから)

トランプ大統領は、5月8日、関係6ヶ国とイランとで調印した「イラン核合意(2015年)」からの離脱を一方的に表明、反イラン色を鮮明にしたばかりである。米国は、イランへのより厳しい制裁を求めてきた。

さらに5月10日、イスラエルは、シリア国内の70箇所の軍事施設を空爆した。イスラエルの発表によれば、その日の未明にあったゴラン高原への20発のミサイル攻撃への報復であり、ミサイルはシリア領内のイラン軍が発射したものだいう。それが事実ならば、イラン軍は代理戦争の域を越えて、イスラエルへの初の直接攻撃を行なったことになる。昨年4月には、米軍による初の対シリア空爆が地中海から行われ、大きなニュースになった。

昨年12月21日には、国連の緊急特別会合が、エルサレムイスラエルの首都と認定する米国の決定に対して(米国による)撤回を求める決議案を賛成128対反対9で採択した。イランのザリフ外相は「これは、トランプ政権の脅しに対する世界的な拒絶だ」と言い、ネタニヤフ首相は「イスラエルはこのばかげた決議を全面的に拒絶する。賛成に票を投じた国に謝罪を求める。」と述べた。緊急特別会合の決議に強制力はない。

本日開かれた国連の安保理事会の緊急会合で、エルサレムの米国大使館を非難する声に対し、ニッキー・ヘイリー米国連大使は、「イランがHamasを軍事支援している。ガザ地区の暴動は、昨年12月にトランプ大統領が大使館移転を表明する前から存在する。」と述べた。彼女によれば、Hamasは大使館移転を扇動の手段に使っているのであり、大使館移転を一番喜んでいるのはHamasなのだという。

911以降、アフガニスタンイラクは親米政府になった。エジプト、ヨルダンはそれ以前から親米である。イランとイスラエルの対立の決着が、今後の中東情勢を決めるだろう。国際協調を無視するトランプ大統領の政策は、今後どのように進展するだろうか?

アメリカ大使館の移転式典に参加した33カ国】
A: Albania, Angola, Austria
C: Cameroon, Republic of the Congo, the Democratic Republic of the Congo, Ivory Coast, Czech Republic
D: Dominican Republic
E: El Salvador, Ethiopia
G: Georgia, Guatemala
H: Honduras, Hungary
K: Kenya
M: Myanmar, Former Yugoslav, Republic of Macedonia
P: Panama, Peru, Philippines
R: Romania, Rwanda
S: Serbia, South Sudan
T: Thailand
U: Ukraine
V: Vietnam
P: Paraguay
T: Tanzania
Z: Zambia

【写真下】 黄色い四角が、パレスチナ人が7週間、抗議活動をした地点。(出典: New York Times)