En hommage à SPI

SPIへのオマージュ

ゲームレビュー、海への競争「Race to the sea」

YAAH!誌8#付録ゲーム「Race to the sea」は、第一次大戦マルヌ会戦から第一次イーペルの戦いまでの西部戦線を10ターンで描く戦略級ゲームです。

ゲームタイトルは、両軍とも敵に側面を攻撃されないように北に塹壕線を伸ばしてゆくうちに、わずか1カ月でイギリス海峡までの塹壕線が完成した史実を指しています。

このゲームが表しているのは時間との競争です。ゲーム開始時に両プレイヤーに与えられているのは前線の1/5を守るだけの兵力です。プレイヤーは、限られた兵力を、塹壕の伸張に使うのか、敵前線の迂回攻撃に使うのか考えなければなりません。

ゲームを面白くしているのは、双方の戦力がほぼ同じであること、セミブラインドで相手側の兵力がわからないことです。

何もしなければ2ターンでイギリス海峡まで見事な塹壕線が誕生しますが、相手も同じ強さの塹壕線を作れるので、その場合、攻撃側に不利な戦線になります。

本来なら、敵の塹壕線が完成する前に穴をあけたいところですが、攻撃にユニットを割けば、その分自分の防御ラインに穴が開きます。双方とも、自軍の出方は、相手の出方次第なのです。

勝利条件は、史実より広いテリトリーが取れるかどうか。テストプレイも十分にしたと思われるこのゲームは、ルールに破綻も矛盾もなく、何度対戦しても同じ結果になりません。

(2018年2月4日YSGAで対戦)

【写真1】 第一ターン。1914年9月16日のマルヌ会戦の敗退からはじまる。連合軍は無限の鉄道移動網を持つので一見優勢に見えるが、そうならないのがこのゲームの面白いところ。

【写真2】 1914年9月29日、第二ターンの終わり。戦闘したユニットが平らに置かれている。


史実の塹壕
https://en.wikipedia.org/wiki/File:Franco-German_flanking_moves,_15_September_-_8_October_1914.jpg

https://flyingpiggames.com/products/yaah-magazine-8